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◆ 最近は、体と生活リズムが壊れてるところです。 (2012/09/23)
 
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漫画は好きだけれど、あまり作者で買うということをしない。同じ作者でも作風が違うことは多いし、その人が描いたからと言って全部が全部面白いとも限らないのが、じっさいのところだ。

しかしながら、何名か、もうこの作者ならとりあえず買うわという漫画家もあって、ÖYSTERとか、桜玉吉とかあさりよしとおとか……

いや、やっぱり作品による。
ハイテンションなギャグ4コマを得意とするÖYSTER作品はけっこう好いていて、明らかに子ども向け方針の『ティラノ介』以外は持っている(厳密にはゼルダの伝説コミカライズも持っていないが)。

桜玉吉はどうも「明るい頃」の作品は肌に合わず、うつ病と幻想世界渦巻く漫玉日記シリーズや、男同士のバカ旅の雰囲気が見易く味わえる『なぁゲームをやろうじゃないか!』などが面白く感じる。

あさりよしとおは、カールビンソン、ワッハマン、まんがサイエンス、その他単巻は持っているが、『荒野の蒸気娘』や、面白くなる要素のないだろう『くわがたツマミ』などは持っていない。意外に『るくるく』もそう言えば持っていないのだ。

この系統では怪奇・ブラックユーモア漫画を得意とする高橋葉介も難しいところで、非ッ常に好きな漫画家なんだけれど、長編になるほど初期のテンションを保てず設定を変えることがある。例えば『夢幻紳士』という20年以上続く一連のシリーズでもマンガ少年版と外伝は近いな、幻想篇以降もこれは好きだなと思っても、間に含まれる冒険活劇篇はやっぱりちょっと違うだろうということがある。

そう考えると、手塚治虫は死ぬまでテンション、作風、作品コンセプトが変わらなくて、やっぱりスゲエなと感じる。
ただし七色いんこを除く。

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そんな中にあって、ほとんどの単行本を買い漁っている漫画家が、須藤真澄だったりする。

メジャー誌での掲載がせいぜいアフタヌーンなのでマイナー漫画家の部類に入るのだと思うけれど、とにかく、好きである。強いて言えばねこ漫画がいまいち。結局放任しているだけの不衛生な育て方も「うちの子は可愛いから」だけで済ませてしまっているので。
ただ愛猫の死を描いたエッセイ『長い長いさんぽ』は、ええと、泣いた。やばいよ、あれ。かなり押し付けがましさを削いだうえでデフォルメをきかせ、冷静に、しかし真に迫ってペットの死を辛く描いているから。


なんだっけ。
実はここまで全部前置きなのよ。

6/25に『水蜻蛉の庭』が発売されて、ようやく買ったもので、記念に、じゃあ須藤真澄漫画を読み返してみよう、いいシーンを抜き出してみようと、そういうわけなのだ。


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『電気ブラン』というのが、最初の短編集だそうで、気の字が旧字体だったのだけれど、私の持っているのは復刻版の『電気ブラン』である。

絵は少女漫画になりきれない古臭さがあり、内容も悩める女学生が何かしら外的要因によってちょっとずつ強くなったり、または単純に怪異に触れるというありがちな物だけれど、いや、もともとセリフの多い漫画家なのか、面白い場面は多い。


「この子の名前知ってるかね? 木乃枝って言うんですよ。そしてあたしの名前も木乃枝。ね。そんな風に考えてごらんよ。あたしとこの子はあんたの分身なんだ…。あんたの過去と未来の姿なんだってさ。人間を恐がることはないんだよ。みんなあんたと同じように悩んだり、あたまおかしくなったりしてるんだから。今、あんたがあたしの所に飛び込んで来てくれたように、他の人の所へも行けるようになればいいんだけど――取りあえず一番最初に――あたしたちが分身になるよ。何も考えないこの赤子と何もかも考え尽くしたこの老婆が、もがいているあんたの心の端と端をしっかりつかまえて、どれだけ揺れても大丈夫な足場を作ってあげる。肩の力を抜いてごらん。あんたはもう、ゆったり、ゆったりしていていいんだよ」
(黄金虫/老婆)

試験に悩む女学生に対して、これである。長い!
ただとにかく、言葉を、選んで、紡いで、主人公の役に立とうとする気概がある。それでなくても、“みんなあんたと同じように悩んだり、あたまおかしくなったりしてるんだから。”というのはなかなか気を楽にさせるセリフだ。


「興味がおあり? この本にだけど。おじさまはどんな読み方するのかしら。わたしはまず平仮名の数を数えるの。それから片仮名。漢字。さんずい。のぎへん。くさかんむり。くっくっくっくっく……」
「やまいだれがいーちにーさーんしーごー」

(告知/セーラー服の女学生“麻憂”)

不思議ちゃん系も面白い。
この話は子供の出来ない夫婦が揃って“麻憂”と名乗る少女に惹かれてしまう話で、解りやすい面白さがある。


1989年発売の「観光王国」には『アスパラガス☆ハイ』という恐ろしい話が載っている。
フケの代わりに麻薬を零してしまうホームレスの男と出会ってしまった少女が、同じ体質になってしまったうえ、精神病院に押し込まれていた男と再会すると言うオチ。小学生女児が麻薬で狂気的な世界を見るシーンもやばけりゃ、成長後にその記憶を思い出し、「月、キレイだね」と精神病院の檻の外から男に話しかける最後のコマも怖い。

そして更に上回る恐怖譚が「マヤ」収載の『鶏頭樹』。
新種のニワトリの卵が学校に出現、とげだらけのその卵が割れると、周囲の人間はニワトリになってしまうと言う、土台はゾンビもの的なのにやや可愛らしい話。
しかし、主人公のひとりだけ校内に残り、友達が警察に知らせに外へ出てからが怖い。「夜明けと共に校門の外からニワトリの鳴き声が聞こえる」オチが恐怖漫画として成り立つのは、たぶんこの作品だけだろう。


『ナナカド街綺譚』の話。
須藤真澄漫画のなかで一番好きな作品だ。

ややネジの外れた女の子・なのはが、「七つの突起がある星型の街」ナナカド街を、ひとつずつ探検しに行く全七話。
特異な形の街、ひとつずつ突起で起こる不可思議なできごとというコンセプトが、わかりやすく冒険心を刺激して面白い。

この漫画の中で好きであり、また作品の意図を明確に示すやりとりがこれ。

「あたし、なのは。しかしこれからは探検くんと呼んでくれたまえ」
「なのはか。いい名だ」
「今ね、この町のかどっこをひとつひとつ探検してるんだ」
「へー…動機はなんだったの?」
「……んーむ。地図見てたら、その場所に呼ばれてる気がしたの。……えとね。その場所に面白いものがあっても、それを面白いと思う人がいなきゃ面白くないでしょ? 地図がおまえも面白がりにおいでーって、呼んでる気がしたの」


大変、好奇心の正体をよく表していて素敵な言葉だと思う。


最後に、傑作『アクアリウム』のセリフ。
作品自体が魚と会話できる少女の、乳児から母親になるまでを描いた一大ドラマなのだけれど、この作品の素晴らしいのは、そんなふうに「ある人間が赤ん坊から子供に、子供から大人になる」面白さを、全く名前も設定されていない脇役に言わせてしまっていることだ。
居酒屋の爺のセリフに、全部詰めてしまったのだ。

「いろんなお客さんがみえるけどね。常連さんや一回こっきりさんや、おねえさんたちみたいにまた訪ねてくれる人も。おじさんはこん中にいて、みんなの話聞いて…笑ってんの見てさ。うん。なかなかおもしれえ商売だと思うね」

主人公だけでなく、美術学生から、腐れ縁の男友達と結婚した叔母のドラマも垣間見える作品だからこそ、控えめなりにかなり光るセリフだと感じられる。


須藤真澄作品は、SFであることを押していて、実際に日常を舞台にした確かにファンタジーなのだけれど、日常であることを武器にした「単なる人と人のつながり」に重きをおいたセリフが、とても良かったりする。
 
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高橋葉介と言う漫画家の作品が好きなのだが、1970年代から活動しており、新装版や文庫版の再販が多く、どう集めようか頭を悩ませている。特に問題は短期連載&読み切りだ。

まず、オリジナル版。単行本サイズや大版サイズで発刊される、1979年から現在までの作品群だ。特に最初の4冊には「ヨウスケの奇妙な世界」と標題がふられている。




それらが、1987年に一度「高橋葉介作品集」として再構成された。



厄介なのは、オリジナル版をそのまま再録したわけでも、合本にしたわけでもなく、順番が入れ替わっていたり初収録の話があったりすることだ。

例えば「奇妙な世界1 腹話術」に収録されている作品は、すべて「作品集1 ミルクがねじを回す時」に収録されているが、順序が入れ替えされているうえ新たに『妖獣の女王』が収録されている。

「奇妙な世界4 宵闇通りのブン」に収録されていた『傷つきやすい青春』は「作品集3 ライヤー教授の午後」に収録されており、代わりに「作品集4 宵闇通りのブン」には、朝日ソノラマ刊「真琴・グッドバイ」(順番としては奇妙な世界5)に収録されていた『たった一人の日本人』が収録されている。

じゃあ「真琴・グッドバイ」の表題作は何に収録されているのかと言うと、「作品集5 海から来たドール」なのだが、この本にはオリジナル版「海から来たドール」と「WOMAN'S ISLAND」、「Uボート・レディ」からも作品が選ばれている。

そしてオリジナル版「海から~」と「WOMAN'S~」の残りの作品は「作品集6 猫夫人」に収録されているが、『たんぽぽ姫』だけは別に「作品集4 宵闇通りのブン」に載せられている。
また、「作品集10 腸詰工場の少女」には『Uボート・レディ』が収録されているが、本来オリジナル版「Uボート~」に同時収録されていた作品は、作品集3や5や6に収められている。

ええと、なんだっけ?


割とここまででもどうしようかと困惑するが、つまり、オリジナル版と87年版では、本来別の本に載っていたつながりのある話同士がまとめられたり、そのシワ寄せで読み切りが別の本に入ったり、ついでに、ページの余ったところに初収録作品も載ったりしているので、そりゃあもうややこしいのである。




そして1998年に、「ヨウスケの奇妙な世界 文庫版」が刊行された。
標題こそオリジナル版と同じだが作品集よりも小分けにされており、更に再構成を加えたものだから、いっそう収録作がバラバラになった。

「奇妙な世界1 腹話術」から「作品集1 ミルクがねじを回す時」になった際に追加収録された『妖獣の女王』は、今回「文庫版17 ここに愛の手を」所載となっている。その『ここに愛の手を』は、オリジナル、作品集共に『腸詰工場の少女』と併せて収録されていた作品だ。

さっぱり解らなくなってきた。
一体、どの版で揃えれば全作品を堪能できるのだろう?


最終的には文庫版が一番なのかもしれないが、しかし文庫版の通し番号は、長編連載の「夢幻紳士」シリーズから始まっているのだ。
夢幻紳士は高橋葉介のライフワークとも呼べるシリーズで、マンガ少年版、キャプテン版、怪奇編、外伝、幻想篇、逢魔篇、回帰篇と分かれている。

そのうちマンガ少年版は文庫版1として再録。
怪奇編は作品集11~12、文庫版2~3として再録。
外伝は文庫版4~6として再録。
キャプテン版は作品集13~19と、スコラ漫画文庫として前述の文庫とは別に再録。
幻想篇以降は大版でしか出ていない。
結局、うまく順番に並ばないのだ。それに文庫版は表紙が……寂しい。

重複に目をつむって全て揃えるか、版型がバラバラになってでもうまく重複がないよう揃えるか……後者を狙いたいが、あまりにも、パズル過ぎる。
 
とりあえず、変動の少ない「怪談」の文庫版でも買おうかな……と思ったら、これには「作品集2 仮面少年」から『井戸の怪』、「作品集3 ライヤー教授の午後」から『アン』『クレイジーアン』『骨』が含まれている。
コレを買うと、『龍神伝説』は『井戸の怪』の重複を我慢して作品集2を買うか、「文庫版16 猟奇博士」を買うほかなくなる。
そして文庫版16を買うと、収録内容のダブる「作品集4 宵闇通りのブン」が買えなくなるから、宵闇~は奇妙な世界で買うとして、そうなると、『たった一人の日本人』が……




ああ……もう……
 
先日やった漫画挨拶や、Twitterに上げた漫画告白が作った身としては面白く、いろいろ考えている。


※ 漫画告白



本が乱雑に置かれていると思いきや、




実は告白文になっていました、という物。
告白のくせにラストが『甘えんじゃねえよ!』なのが、手前味噌ながらポイント。


実は元ネタは、上野顕太郎という漫画家の作品『RHYTHM』で、日本国内の様々な漫画から、「あっ!」や「ぬ!?」のような一文字だけのセリフを全部模写して並べるだけとか、『アフター0』『くぴっと一杯』『バビル二世』……と数字の部分を順に漫画の表紙を模写していき最後は『無限の住人』で終わるとか言った、非常に実験的な漫画から着想を得たものである。

さて、私自身の蔵書数は漫画好きと名乗るには多くないのだが、長編より短編や短期連載を好むので、タイトルの幅はやや、あると思う。

試しに「あ」から順に背表紙を追うと――

ずまんが大王』!
言わずと知れた萌え&シュール4コマの草分け
『長長いさんぽ』!
愛猫の最期を明るさを交えながら描いた、押し付けがましくないペットもの
『も安心。』!
とり・みきの180ページ近い短編群を、ページをシャッフルして再構成した「メガミックス手法」の長編集
『燃よペン』!
異常に熱く燃える漫画家が主人公の業界ギャグ
さんぽ大王』!
割と普通の旅をコメディタッチで描いた、面白い旅エッセイ

…………

『ごんじょ冒険隊』、
不思議な力を持つ回覧板でごきんじょを冒険する幼稚園児のほのぼのSF
『ドター秩父山』、
手塚治虫の筆真似で馴染みの田中圭一が描いた、あまりに馬鹿馬鹿しい下品ギャグ
『ものの草紙』、
戦前戦後、肝の据わった女芸人が怪異とめぐり合う幻想ホラー

…………

『グリムのような物語 ノウホワイト』、
グリム童話を題材に、独自の展開と解釈を描いた不条理短編集
『しあわももりんご』、
登場人物全員がエロいことしか思いつかないほのぼのギャグ
『じーばーだち』、
祖父母の影響で渋く育ってしまった幼女が主人公の4コマギャグ

…………

ナナナバニ・ガーデン』、
放浪の旅人がバナナワニ園で可愛らしい女子高生バイトに出会うSF短編
『主泣いてます』、
美人過ぎるため苦労が絶えない女性が、岡田あーみん的発想で逞しく生き延びるギャグ
『てのほそみち』、
女の子らしい趣味を、如何に手を抜いて実施するかがテーマのエッセイ

…………

『HAL はいぱあ・あかでっく・らぼ』、
まっとうな科学漫画の手法でウソ科学を教えるギャグ
『なあゲーをやろうじゃないか!!』、
ゲームタイトルから連想できるダジャレで旅をするだけのゲーム紹介漫画
『孤独のグル』、
独身男性がハードボイルドに大衆食堂で飯を喰う漫画

…………


ゆ!!


「ゆ」が入る漫画が無いぞ!
パノラマデリージョンはちょっと卑怯だから除外だ!
「夢」はあるんだけれど、ひらがなかカタカナで絞ると、これが見つからない。や(おじの惑星)までは順調だったけれど、五十音総揃えはかなわなかった。濁点半濁点も無理だな。

ただこの遊び、探している字が見つからない時に、勝手に目についた漫画のタイトルを変えてしまうほうが面白いかもしれない。
苺まちまろとか、燃えぬペンとか、二十面相が娘とか、かつあげ君とか。最後のは存在するわ。


人待ちの暇に飽かせて、買い込んでいた漫画。




かりあげクンベストセレクション

やっぱり、植田まさしってスゲエと思うんです。かりあげクン、単行本は持っていないんだけれども、たまに読みたくなる。
ということでブラック編(意地悪ネタ収録)、ピンク編(お色気ネタ収録)に続きこれも買ったのだが、とりあえずこれら三冊あれば、かりあげクンを解った気になっていいんじゃないかと思う。
一番好きなネタは、電車内で新聞を読むついでに、折りたたんで箱状にして、水を入れて、中から花びらを出すという4コマ。いっさいセリフがなくて、良い。






吉田戦車のゲーム漫画大全 (弟)

兄編をだいぶ前に買ったから、いよいよ弟編も買うかと購入。ゲーム漫画は吉田戦車と桜玉吉がいりゃ充分という面白さがある。勿論、見る側がゲームをやる人だから面白いのであって、全く興味ないよって言ったら面白くもなんともないだろうけど。

ちなみに好きな漫画家のひとりである上野顕太郎もゲーム漫画を描いていたが、あれは、腹の底からつまらねえと思う。なんだか、苦笑いも出ないつまらなさ。
バイオハザードのエド・ウッドパロディと称して、墓石に「ジル・バレンタイン」と書いてるだけ、バイオとジブリのコラボで、メイが大グモに「あなたトトロって言うの!?」と問いかけて喰われるだけとか、つまらねえつまらねえ。






ヒメ・コイ

女子校で生徒に惚れすぎて恋愛修行に出された主人公と、世話役につけられた相棒と、そんな二人にレズ恋愛相談に来る生徒たちとのドタバタがテーマの百合ギャグ漫画。
騒がしくって絵柄もセリフもボロッボロに感じるけれど、間延びが無く、そこそこ面白く読める漫画。二人の主人公の仲がまったく進展しないのも良い。
作中はつまらん茶々入れが細かくあるが、気楽な百合漫画としては基準にあると思う。






顔のない女

殺し屋専門の殺し屋、“顔のない女”を主人公とした、幻想ハードボイルドなる珍しいジャンルの漫画。
顔のない女は「対面した相手の能力をコピーする」能力を武器としており、標的を影に取り込む“影男”を逆に影に封じたり、暗示の毒蛇で思い込みの毒殺を仕掛ける“スネーク”に、技を盗んだと見せかけ、本物の毒蛇をけしかけたりして任務を遂行する。
表面上かなりパターン的なコンセプトなのだが、顔のない女のぶっきらぼうなキャラが良く、標的を呼び出してから「どーしよっかなー、もうメールで呼び出しちゃったしなー」と戦略を考えたり、レストランの相席を求められてがっつきながら「……よそ行けよ」とあしらったり、何とも素敵な魅力を持っている。
特に、常に黒い帽子を深々と被っている、文字通り顔の見えない女なわけで、その割にセリフや仕草に熱情が見られるのが面白い。ラスト、標的から盗んだ「夢を見せる」能力を用いてラスボスに挑むのも、とても素敵だ。……1500円は高いが。






彼女のひとりぐらし

これもコンセプト勝利。モテない26歳女性が、コンプレックスとだらしなさの中で独り言つぶやいて第三者には冷たくされて、それだけで終わる漫画。
周りは友人なり妹なり彼氏持ちで充実しているのに、主人公は病気に罹っても誰も助けてくれない寂しさや、ひとり酒で現出した腹肉のことしか考えられない。
つまり「ひとりぐらしにありがちなこと」を実行していく漫画で、ちょこちょこっと面白く、充分魅力的という思いを持たせる。
2巻が出たらそれも読んでみたい漫画。

 
今までこのブログで「この漫画、めっちゃめちゃ面白い! 惚れた! 好き! ウヒョー!」と書いた漫画が幾つかある。





ヨコハマ買い出し紀行

文明が終わりに近づき海と木々に囲まれたヨコハマで、客の来ないカフェを営むロボット・アルファさんの暮らしっぷりをだらだらのんびり描いた漫画。
変わらないアルファさんと成長する子供たちの対比、活き活きとしたバイク描写、じんわりと来る良い作品。
新装版全10巻。






菫画報

純情可憐なのに傍若無人な文化系女子高生・スミレが騒動を起こす漫画。朴訥とした画風と、時折見せるとんでもない不条理、日常のそばでごくごく自然に佇んでいる非日常の描写がたまらなく良い。全ての文化系男子の理想。
全4巻。





へうげもの

戦国時代の茶人・古田織部の活躍を描いたお茶漫画。
武人として生きる一方で、創作者として悩む葛藤がとても面白い。たぶん日本一、千利休がカッコいい漫画だろう。
勿論利休死後の、「甲でなく乙」なセンスで遊ぶ織部も好きだ。
11巻続刊。





金魚屋古書店

実在の漫画を題材にしたヒューマンドラマ。
物語としては安定した、そこそこのヌルい展開なのだが、キャラクターの人生を実在の漫画に照らし合わせて楽しめるので、読んだ後はどうしても「ああ、漫画は面白いなあ」と思わされてしまう。良い漫画。
11巻続刊。





庭先案内

日常を舞台にしたほのかなSF漫画。面白いし、泣ける。少女も爺婆もオカマも全てのキャラクターが愛を持って描かれており、全編がなんとも温かく優しく、しかし不思議なムードを持っている。
同作者の作品では『ナナカド町綺譚』『アクアリウム』もオススメ。
全6巻。





第七女子会彷徨

制度によって「友達」になった2人の女子高生が、科学が発達したゆえの非日常をだらだらと過ごす日常系SF漫画。
丁寧な絵柄なのに、妙に寂しく孤独な画風がすごい。
3巻続刊。





中央モノローグ線

中央線の駅の特色をそれぞれ女性に擬人化し、それぞれに生活の独り言を言わせるだけの、ものっすごい地味な4コマ漫画。
全体的に落ち着きまくっていて、ナレーションばかりで殆どセリフもなく、それぞれのキャラクターが直接絡むこともないのに、それでもただ生活するだけの新鮮さと面白さ、そして作者の秀でた感受性が楽しめる。
全1巻。



いつまで続けやがる。

だって好きだもの、漫画。今日書きたいのは、これにもう一冊、是非コレは大好きと愛を叫びたい、という漫画が増えたからである。





もののけ草紙

墨絵のぼってりとした感触が特徴的なホラー作家、高橋葉介の漫画。
千里眼や妖術で各地を渡り歩く女芸人・手の目(てのめ)が、様々な怪異をきっぷの良さで駆け抜ける和風ホラー(戦前後の日本~上海が舞台なので、和風らしさは薄いのだが)。
作中で成長する手の目は、チャキチャキ江戸っ子な和装美少女~妖艶且つ肝の据わったドレス美女、共に魅力的に描かれているし、ひとつひとつ怪異がセンスに溢れている。
3巻続刊。


雰囲気がいいし、一話完結なので読みやすい。
なにせ、第一話目の一ページ目の見開きから面白い。
料亭の酒宴に急ぐ手の目が、竹林で出会った胡乱な男に見栄を切りついでに読者へと自己紹介するだけなのだが、筆で描かれた陰鬱な竹林と、可愛らしくも瑞々しい手の目の立ち姿と併せて、まいったことに面白い。

そう云うコンセプトだったのか、一巻の途中で少女時代を終え大人時代に舞台を移行するのだが、押しかけ弟子として登場した小兎(シャオツー)が代わりの役目を引き受けるので、作品のバランスはなかなか崩れない。

またこの小兎が、男っぷりのある美少女として非常にキャラが立っている。
戦後復興の最中ですいとんついでに「ある儀式で生贄にされた少女」の内蔵を喰わされ、その娘の想いを取り込んでしまうシーンがあるのだが、
「ペッペッペッ!! やいババア! この肉いったい何処で仕入れやがった、いえ!! ちくしょう、こちとらハラワタの身の上話聞かされるハメになったんだぞ、怒鳴りこまずに納まるかァッ!!」
と配給のおばちゃんに掴みかかる。
乗り込んだ先で亡者に襲われて悲鳴をあげるのも楽しい。

戦争前後の浪漫、少女愛、エロ、和風怪異譚、猟奇、カルマ、母性愛……どういうジャンルといえば良いか。正当ではないが、エログロナンセンス的と言うのも近いかもしれない。そう言った、胡乱で陰惨なジャンルの中で、とりわけ完成された作品だと思う。
 
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