今までこのブログで「この漫画、めっちゃめちゃ面白い! 惚れた! 好き! ウヒョー!」と書いた漫画が幾つかある。
| ヨコハマ買い出し紀行
文明が終わりに近づき海と木々に囲まれたヨコハマで、客の来ないカフェを営むロボット・アルファさんの暮らしっぷりをだらだらのんびり描いた漫画。 変わらないアルファさんと成長する子供たちの対比、活き活きとしたバイク描写、じんわりと来る良い作品。 新装版全10巻。
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| 菫画報
純情可憐なのに傍若無人な文化系女子高生・スミレが騒動を起こす漫画。朴訥とした画風と、時折見せるとんでもない不条理、日常のそばでごくごく自然に佇んでいる非日常の描写がたまらなく良い。全ての文化系男子の理想。 全4巻。
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| へうげもの
戦国時代の茶人・古田織部の活躍を描いたお茶漫画。 武人として生きる一方で、創作者として悩む葛藤がとても面白い。たぶん日本一、千利休がカッコいい漫画だろう。 勿論利休死後の、「甲でなく乙」なセンスで遊ぶ織部も好きだ。 11巻続刊。
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| 金魚屋古書店
実在の漫画を題材にしたヒューマンドラマ。 物語としては安定した、そこそこのヌルい展開なのだが、キャラクターの人生を実在の漫画に照らし合わせて楽しめるので、読んだ後はどうしても「ああ、漫画は面白いなあ」と思わされてしまう。良い漫画。 11巻続刊。
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| 庭先案内
日常を舞台にしたほのかなSF漫画。面白いし、泣ける。少女も爺婆もオカマも全てのキャラクターが愛を持って描かれており、全編がなんとも温かく優しく、しかし不思議なムードを持っている。 同作者の作品では『ナナカド町綺譚』『アクアリウム』もオススメ。 全6巻。
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| 第七女子会彷徨
制度によって「友達」になった2人の女子高生が、科学が発達したゆえの非日常をだらだらと過ごす日常系SF漫画。 丁寧な絵柄なのに、妙に寂しく孤独な画風がすごい。 3巻続刊。
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| 中央モノローグ線
中央線の駅の特色をそれぞれ女性に擬人化し、それぞれに生活の独り言を言わせるだけの、ものっすごい地味な4コマ漫画。 全体的に落ち着きまくっていて、ナレーションばかりで殆どセリフもなく、それぞれのキャラクターが直接絡むこともないのに、それでもただ生活するだけの新鮮さと面白さ、そして作者の秀でた感受性が楽しめる。 全1巻。
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いつまで続けやがる。
だって好きだもの、漫画。今日書きたいのは、これにもう一冊、是非コレは大好きと愛を叫びたい、という漫画が増えたからである。
| もののけ草紙
墨絵のぼってりとした感触が特徴的なホラー作家、高橋葉介の漫画。 千里眼や妖術で各地を渡り歩く女芸人・手の目(てのめ)が、様々な怪異をきっぷの良さで駆け抜ける和風ホラー(戦前後の日本~上海が舞台なので、和風らしさは薄いのだが)。 作中で成長する手の目は、チャキチャキ江戸っ子な和装美少女~妖艶且つ肝の据わったドレス美女、共に魅力的に描かれているし、ひとつひとつ怪異がセンスに溢れている。 3巻続刊。
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雰囲気がいいし、一話完結なので読みやすい。
なにせ、第一話目の一ページ目の見開きから面白い。
料亭の酒宴に急ぐ手の目が、竹林で出会った胡乱な男に見栄を切りついでに読者へと自己紹介するだけなのだが、筆で描かれた陰鬱な竹林と、可愛らしくも瑞々しい手の目の立ち姿と併せて、まいったことに面白い。
そう云うコンセプトだったのか、一巻の途中で少女時代を終え大人時代に舞台を移行するのだが、押しかけ弟子として登場した小兎(シャオツー)が代わりの役目を引き受けるので、作品のバランスはなかなか崩れない。
またこの小兎が、男っぷりのある美少女として非常にキャラが立っている。
戦後復興の最中ですいとんついでに「ある儀式で生贄にされた少女」の内蔵を喰わされ、その娘の想いを取り込んでしまうシーンがあるのだが、
「ペッペッペッ!! やいババア! この肉いったい何処で仕入れやがった、いえ!! ちくしょう、こちとらハラワタの身の上話聞かされるハメになったんだぞ、怒鳴りこまずに納まるかァッ!!」と配給のおばちゃんに掴みかかる。
乗り込んだ先で亡者に襲われて悲鳴をあげるのも楽しい。
戦争前後の浪漫、少女愛、エロ、和風怪異譚、猟奇、カルマ、母性愛……どういうジャンルといえば良いか。正当ではないが、エログロナンセンス的と言うのも近いかもしれない。そう言った、胡乱で陰惨なジャンルの中で、とりわけ完成された作品だと思う。
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