2chのまとめサイトで見たネタだが、スーパーマリオワールドにこんな噂話があったそうだ。
SFCのスーパーマリオワールドでクッパを特殊な方法で倒すとピーチを助けたときにピーチから2つの宝箱をもらえる。
もらえるのはどちらか一つで正解?を開けると真のEDを見られるが、不正解の方を開けると白目を剥いたピーチが絶叫してフリーズ。その後そのソフトは起動できなくなる。 如何にも子供が考えたと言う感じで微笑ましくもあり、尚且つ一段落ごとにツッコミどころがあって非常に面白い。
まずは
2つの宝箱。
舌切り雀の話を知らない日本人はそういないと思うが、どう言うわけか我々は「取捨選択」に対し何かしらのリスクを想像する。まさかどっちを取っても得と言う事はないだろう、と。
何かを得るには相応のリスクがあり、それがこの場合は二者択一によるギャンブルだと、なぜか認識している。
自身の選択により先行きが天国なのか地獄なのか決定される、と言うドキドキ感を伴うこの要素は、根拠のない噂話を彩るのに欠かせない。
次に
真のED。
スーパーマリオワールドが発売されたのは90年代はじめだが、この頃はまだファミコンが現役で動きまくっていた。
当然そっけないエンディングのゲームも多量にあり、一方RPGの普及により凝ったエンディングも混在していたから、「きっとあのゲームにも本当のエンディングがあるはずだ!」と言う希望と言うか、願望と言うか、そう言ったものは確実にあった時代だった。
ついでに言えば「スーパーメトロイド」の影響で、クリア成績によってエンディングが変化する隠し要素の存在も膾炙したから、そのテの裏技を求める向きは非常に多かったのだ。
そして……これが一番大好きなんだけど、
白目をむくピーチ姫。
むいてどうする。これが、最初に書いた「リスク」のひとつめなんだよね。
でも実際、白目むいて絶叫されても……困るじゃない。実害があるわけでも無ければ、そもそも動機が解らない。何を思って絶叫する!?
助けられたピーチ姫が宝箱の二者択一を迫るのも不可解だし、そこに正解と不正解がある理由も無い。また、仮に不正解を選んだとして、ピーチ姫自身にどんな不都合があると言うのか。
黙って助けられろよ、立場的に。
この噂話には、愛おしさを感じる。
一生懸命子供が考えた、「無垢なる恐怖」がある。
根拠なんて、要らないのだ。ただ、二者択一のギャンブル性と、わけもなく白目をむいて絶叫される理不尽な仕打ち。
これだけで、噂話は成立するのだ。
大人になってみれば、本当のリスクはその後の「ソフトは起動できなくなる」――これに尽きる。
せっかく買ったソフトが起動できなくなったら、たまったもんじゃない。下手をすれば回収騒ぎ、さらには訴訟問題だ。
実際のところ、プレイしているゲームのヒロインが絶叫したところで、一切の不都合がこちらには無い。その、実利を超えた「無駄な恐怖」に、言葉にし難い愛おしさがある。
また更に、ここまでの理不尽さをごてごてに彩る
クッパを特殊な方法で倒すの件。
たまらないなあ。
特殊な方法って、なんだろう。
一般人でもハックロムができるようになり、TAS動画に至っては10分強でクリアできるこのソフト。
最早、「特殊」の余地は残されてはいない。
これ、逃げ道なんだよね。
仮にガセネタだと糾弾されても、「いやいや、何せ特殊な方法ッスから」と言い逃れができる。
ここにも、子供らしい浅知恵が見え隠れして、大好き。
そうだ。
私も昔、妄想したものだった。
ファミコンで発売された、ナムコ三国志II。
あのゲーム、戦闘中に使える計略が前作の2倍強になって、更に聞きなれない「十面埋伏」だとか「奇門遁甲」だとか言う要素も追加された。
当時小学校低学年だった私は、これら意味不明な計略が怖くって。
元々怖がりだったこともあったが、「十面埋伏をしたら、何か恐ろしいグラフィックが出るかもしれない」「奇門遁甲なんてやったら、もうファミコンの動作は保証できないぞ」と夢想したものだ。
子供の側から出てくる噂って、そこが好きなんだ。
浅知恵と、妄想と、できる限りのリアリティが入り乱れる。
勿論嘘っぽさを嘲笑する意図もあるが、一方で、いつかピーチ姫が白目むく日が来るのかなあ、と――ちょっと、期待もしている。
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