実は、『ビジネスジャンプ』廃刊に伴い急ぎ足で連載終了となった石漫画『るべどの奇石』のファンである。実は、とかでもないけど。なんで二巻の表紙はエロっぽいんだろう。
青年誌連載ではあるけれどどちらかと言えば動きのある、少年誌的なハッキリとした線が見やすく、人物のデフォルメが可愛い。
お話としては石屋を巡る欲やら業やらを、ギャグオチあり、恐怖オチありで解りやすく書いており、セーラー服の主人公の持つやや腹黒い魅力もあって(その割にチャームポイントが“たまご肌”というのも気が抜けていて良い)、やや不気味で、好奇心の湧き立つような読後感を残す。
例えば第一話は、石の中に住む「物を食う化石魚」を客に売りつける話。
虫や肉を食べてどんどん大きくなった化石は、街中へ飛び出し人間までも食っていくのだが、主人公はそれを銛で突き殺し、欠片から生まれた化石小魚を持ち帰って「あんなに大きくなられちゃもう売り物にはならない。代わりに沢山子供を残してくれた」としか言わない。
他に、「上へ落ちていく石」や「食べられる石」、「その石の中だけ時間が遅く進み、100年前の景色が映され続ける石」など、アイディアの面白い話が幾つかあり、正直、まだ終わらせてはいけなかった漫画だと感じる。
作風の近い諸星大二郎の寄稿イラストが巻末にあるが、これがまたやる気が感じられなくて良い。もしかしたら主人公を描いたのかも知れないが全く似せる気がないようで、どうも、「メガネっ子女学生」を描くと紙魚子になってしまう呪いがかけられている。諸星ファンだけ必見。
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