泊の手前にある神恵内村は、基幹産業が漁であること以外には、正直特に目につくものがない。人口約1000人、なのに人口密度は平方kmあたり7人。
海沿いらしい、潮臭さと錆の気配、その中で1km四方あたり7人しか住んでいないくらいの、静かな村だ。
ただ、突然道路脇に滝が出現して、なかなかに驚かせる。ここ以外にもごつい岩壁を眺めながら走ることができ、雰囲気としてはFF8のシュミ族の村に近いものがある、気がする。
そしてゴールを目前にした7時半――
晴れた!雨雲が通り過ぎたのか、青空が見えはじめた。
意識も、眠気を越えて妙にスッキリしていた。温度は更に増していき、潮臭さも陰鬱としたものから、夏らしい、爽やかな感触へと変化した。
こうなれば、あとはラストスパートだ。
なんだかジブリ映画みたいなおしゃれな生活風景を横目に、調子を崩さないユグドラシル号を走らせていく。
そして午前8時、ついに大将が経営する「泊ライダーハウス」に到着したのだった。何の造作もなく、玄関扉をがらっと開ける。
いっさい到着時刻を伝えていなかっただけあって、「……何か言ってから入れよ!」と妙に気合を入れて怒られる。
長期で宿泊すると言う大将の知り合い、おっちょさんとも顔を合わせ、ようやく荷物を畳部屋に放り投げ、椅子に腰掛けることができたのであった。
直後、祝いのウィスキーをロックでがんがん飲むはめになり、ワイドショーの可愛い猫紹介ビデオやら、ディスカバリーチャンネルの『サバイバルゲーム MAN vs WILD』の映像やらを見せられたりしているうちに、さっさと意識が飛んで布団に倒れこむことになる。
おまけ。
ライダーハウスの看板を描かせてもらった。大将のイカツさとのギャップを狙ったもので、描いている間じゅう、当の主人は「可愛すぎんだろ……」とつぶやき続けていた。
裏は主人不在時用。
初めて描いた頃に比べ、ねこぺんぎんがどんどんずんぐりしていっていることに気がつく。
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