小樽に行ってきました。
らしからぬ風景から書き始めました。
大将が25日に沖縄にでかけ、半年ほどさとうきび狩りのバイトをしてから戻ってくるそうで、「じゃあその前に何か旅しようぜ」と言う提案にそのまま「じゃあ小樽で」と答えたのが発端です。
醤油差しが、欲しくって。
いや、何ヶ月も前にツイートしてたのよ。「醤油差しはなぜいつも醤油が漏れているのだ、さては醤油は固体を透過するのかっ、えっ、どうなんだそこんとこ」と。
そこで。
ええとね。小樽と言えば有名なものが様々あるんだけれど、実はそのひとつに「醤油がこぼれない醤油差し」と言うのがあって、いや、北一《ぼったくり》ガラスの製品なんだけれど、ここ最近突然売り込みはじめたようなんですよ。
せっかくだから、そこで買おうと思ったもので。
しかし集合時間は午前5時。
当然すぐに店は開かない。小樽だから小樽らしいことをしようと、朝市の食堂に出向くことにしたのだ。
小樽丼。1575円。
ウニとホタテとイクラ入り。
正直海鮮ものってそれほど積極的には食べないんだけれどね。朝7時、ズームインスーパーを小さなブラウン管テレビで見ながら、頂きました。パッと見、海の幸とか言うブランドにカコツけた観光地商品かと思ったら、普通にボリュームたっぷり。
元より6畳も無さそうな、食堂と言うよりも「食卓」のような店内。時折市場の人が顔を出し、「納豆喰うからご飯くれる?」と、日常の会話をしちゃうくらいのアットホーム空間の中だったわけで、出されたものも「海鮮定食」ではなく「魚市場のどんぶりメシ」だったのである。
由仁編以来の思わぬ満腹を得て、完食。これだけでじゅうぶん小樽を堪能したつもりで、市場を後にした。
小樽の運河付近には、先述の北一ガラスやオルゴール館、からくり動物園、まりもっこりなど、様々な商店が立ち並ぶ。
意外とその朝は早く、9時にもなれば殆どの店が開店する。
夜明けを祝津パノラマ展望台で迎えたあと、セブンイレブン前でPOLYSICS武道館ライブのDVDを鑑賞、有料駐車場に車を停め、ゆったりと観光を開始した。
初めて小樽のガラス工芸を見た人の多くが、「綺麗……うちにもこんなものが欲し
うわ高ッ」と感じることになる。いや、観光資源として、また産業技術として妥当な金額ではあるのだろうが、大抵のグラスが3800円からと、その、ちょっと、家にあるにしても1個でいいかなあ……と言う金額設定である。
更に写真のペアグラスなど用途案内&宣伝文が必死で、
限定商品なんだって!! と、非常にうさんくさいムードを付与させてしまっている。
しかしバラエティ豊かな工芸グラスには魅力を感じる商品も少なくは無く、二十なかばの男ふたり、
「今より所得が増えたら、買ってもいいよなあ」と、非常にリアルで悲しい会話をしながら店を後にしたのである。
小樽は、開拓時代の建築様式をそのまま観光資源として利用していることでも知られている。レンガ造りの建物は整備された運河とも相まってレトロな雰囲気を程良く醸しだしており、日本史ロマンに触れる意味でも観光し甲斐のあるところだ。
写真の井戸ポンプも、商店通りにふい、と現れたもので、となりの――
トロロにも同様のものが登場した、歴史ある逸品である。
安易に人気作にあやかろうと言うのも卑しいし、更に気概の感じられない「こりゃあ井ー戸ー」など、道民のギャグレベルの低さを象徴するようで非常に気に喰わない。要らねえよ、なんだよこれ。
だが逆にこれは、真摯さがはみだしておかしみになってしまった例であろう。
小樽は寿司でも有名だが、その、寿司屋の客引きって、あるのね。しかも、女性が。
「お客さん、お客さん! 寿司食べてかない? 時価だよ、時価!」
なんだかいまいち悪質さが想像できない。
さて。
結構金を使った。
小樽丼1575円に始まり、醤油差し1000円、ルタオのチョコレート630円(まとめて会計した大将から受け取るの忘れてた)、日本酒「熊ころり」1000円くらい、小樽名物ぱんじゅうとまんじゅう400円くらい、そして仕上げのはなまるうどん600円。
更に、
更にだ。
衝動買いしちゃいました。
ガラス製灯油ランプ。4000円。なんかさあ、いや、もともと、ロフトにエスニック雑貨店で買った電気スタンドを置いているんだけれど、ちょっと照らす範囲狭いな、もうひとつ明かりあってもいいかなって思ってたのよ。
ただまた同じように電気スタンド買うのも味気ないなって感じで、ふふ、
炎、
いいじゃないの。
本を読むくらいなら支障無いというので、買っちまったわけです。
観光地的押し付けがましさとはまた違う、地方の商売おばさんって感じの店員におまけのポストカードまで付けられて、実際要らないんだけれど「いい買い物をした」感だけは確実に貰っちゃったもので、それなりに満足しているのです。
うち、都市ガスだから灯油無いんだけれどね。
調達したら、実際に点灯させて本読んでくるよ。
最後に。
すっごく修学旅行生が多かった。大将がドッグタグや引率者の装備から判断したところ、北九州の生徒らしいとのこと。女子学生が熊の剥製を前にしての、少し訛りづいた「こんなとこに熊さんおったよー? 写真とろー?」なんか、たまらんものがあった。
醤油差しやランプを選んでる最中も「なんかきれいなのあるー」とわらわら湧いてくるもので、とりあえず、
全員の匂い嗅いどいた。
若さに憧れつつも、
学生じゃないからこそ、好きなものを好きなように購入できる自由があり。
酒も、ちゃんと試飲したうえで買えるのです。
あらためて、まっとうに観光したなあと感じる、今回の小樽旅行だった。
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