大変な事故現場を目撃する夢を見た。
舞台は林道を抜けた下り坂。見通しの悪くない田舎道だがちょこちょこと脇道があり、大きなトラックがその角で頭から歩道に突っ込んでいた。
突っ込んでいたと言っても、住居や電柱にぶつけたわけではない。頭から、歩道の、路面に、垂直に立ったトラックが突き刺さっていたのだ。
長いコンテナは途中でぱっくりと分かれて、その後部が架線に引っかかっていた。中では数人の高所作業員が荷を注意深く運びだしており、陰には、頭部と片腕を失くした死体が見えていた。
事故の原因は、タンポポが横断したことらしい。
脚と腕のついたタイプのタンポポが、鼻歌を歌いながら車道を横切ったらしく、それで、こう、なってしまったのだそうだ。
事故現場を横目にバスに乗り込んだ。
乗車券とおつりをずいぶん過剰に吐き出すバスで、乗客が乗り降りするたびに3分は余計にかかる。30枚あまりの乗車券とかばんいっぱいの小銭を持たされながら降車すると、もう夕方になっていた。
立ち寄った飲み屋ではあの事故が昨晩に起きたことになっており、勝手な憶測と推理で盛り上がっていた。何でも「全ての本の図書貸し出し履歴に名前がある男」が怪しいらしいが、興味が無かったので聞き流していた。
さて、なにか注文でもしようと思ったところで、携帯電話が鳴った。手に取ると画面にこんな文章が表示されている。
「突然ですがゲームを続けるにはこちらに諸用がありますもので、猫そうめんでも食べていてください。」
顔を上げると、猫顔の店員が盆にそうめんを乗せ、運んできたところだった。
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