ファミコン世代では無いと思います。
何せ私よりファミコンのほうが年上だし、多感な小中学校の頃に触れたゲームと言えば、やっぱりスーパーファミコンが多かったと思います。
んでね、スーパーファミコンって言ってもいっぱいゲームがあるわけで、いま振り返るなら、それらに於ける女性キャラの存在と言うのは無視できない。
ツインビーシリーズの“ウィンビー”機のパイロット・パステルだとか、ファーランドストーリーのアリシアやらエレノアやらアリーナやらだとか、ぽっぷるメイルだとか、G.O.Dのアイだとか、ぷよぷよシリーズのジャアーンだとか……メジャーとマイナーの揺れ幅がオカシイ気もするけれど……
しかし、中でも『サンサーラ・ナーガ2』のアムリタは印象深――
ごめん、ファーランドストーリーちょっと挟んでいいか?ファーランドストーリー。元はパソコンゲーだった気もするがよく知らない。
小学生の頃、同じクラスだった富樫さんから借りたんだけれど、一言で片付けるなら「キャラクターに頼りすぎ、難度ぬるすぎの凡作シミューレションRPG」なのよ。
全部で25ステージもあるのに、新キャラを出すことでしかストーリーを進められていない。「敵幹部の女剣士が実は主人公の妹で……!?」から「敵拠点に囚われている修道女がなんか話の流れだけで強引に仲間になって……!?」までならまだしも、幾らモンスターの襲撃から救ってくれたからって、エルフ族の族長様が最終ステージまで付き添ってくれる事ァ無いと思うのです。あんた、長だろ。
大体ね、そのルシーダ様がいなくても配下のリーサさんが仲間になってるじゃねえですか、あの、細めで口元にやりの、何かワケ知った風な女。パソコン版だと目ェパッチリしてるのに、何でSFC版だとあんな斜に構えた顔してるんだよ、余計に可愛いわ。
極めつけは、雪国ステージだからって突然現れる「おゆきちゃん」!
登場が2ステージ限定のこの雪女、入れる必要本当にあったか!?
ファーランドストーリー2となるともっと酷くてね。前作キャラが敵に監禁されてるだけの単なる救出目標だったり、前作から20年後と言う設定が妙にリアルで、
16歳の美少女巫女が36歳で再登場するとか、
誰 得 だ よ ッ ! !でも――思い出深いゲームでもある。
初めて遊んだシミューレションRPGだったし、解りやすい善玉vs悪玉の構図(せいぜいひねっても、元善玉が悪に魂を売ったとか)は子供には馴染みやすかった。
またキャラデザインが可愛らしかったし、地味に音楽も良かった。例の「おゆきちゃん」ステージで流れる『KUCHIBUE』と言う曲の音運びは、当サイトの『プラットホームの子供たち』を作るときに参考にした。
2発売時にはカセットロム高騰の流れもあり、エンディングでいかにも男女キャラがくっつきそうな気配をさせながらもついぞ続編が出ることは無かったが、何とも味わい深きゲームなのである。
いや、マジ、ファーランドストーリー1の、エルフの森と、妖精の島と、KUCHIBUEと、魔界ステージは、SFC音楽史を語る上で必聴よ!?
-----------------------
で、『サンサーラ・ナーガ2』のアムリタ。
1にも同名キャラは登場しているんだけれど、別人と考えて良いようです。
まずこのゲーム、正直言ってちょっとマイナーなのよ。監修が押井守、脚本が伊藤和典、音楽が川井憲次、キャラデザが桜玉吉と聞けば、解る人には
「それ、何事よ!?」ってな人選なんだけれども。
ゲームボーイアドバンスでリメイクされたのに、尚、マイナーゲーの道をひた走り、またクセの強いゲーム性から神ゲーともクソゲーとも呼ばれるやっかいな存在でもある。
さて、アムリタさんが如何に良いキャラかを語る前に、簡単にストーリーを紹介したい。
まずこのゲームのテーマは輪廻転生(サンサーラ)である。
エンディングの場面はオープニングと全く同じ「竜使いギルド」だし、アムリタも発売前PVにて「永遠の叛逆者」と銘打たれている。
またゲームの舞台は階層世界カーマチャクラ。1の頃から至る所にストゥーパがあるなど、全体を通して古代インドのムードに満ちている。
シナリオを簡単に説明すると、下っ端竜使いである主人公ダップ(性別が女ならパリラ)が、天才竜使いアムリタ殺害の命を受け、階層世界を上へ上へと進んでいくというもの。
しかしダップにとってアムリタは、いつまでも孵らない竜の卵を大事に温め続け、人々の嘲笑を受けていた自身の唯一の理解者。この命を受けたのは、なぜ優しかった彼女が突如ギルドに火を放ち、逃亡したのかを突き止めるためでもあった。
ようやく孵化した白竜・セトを従え、ダップは階層世界を登りつめ、やがて第8階層目・アローカにて真相を知ることになる。
アムリタの育てた竜は、世界を滅ぼす運命にあるカオスドラゴンだった。しかし彼女は、自身が育てた竜に手をかける事ができず、ギルドへの放火と逃亡を行った。
ダップが通り過ぎた7つの階層は、既にカオスドラゴンの力によって消滅しており、また、アムリタとカオスドラゴンを倒しても、世界の崩壊が止まることはなかった。
エンディングでは、再び竜使いギルドで白竜が生まれるシーンから始まる。主人公が卵に手をかけると竜は顔を出し、こう言うのだ。
「はじめましてご主人様。私の名前はダップです」
スタッフロールが流れたのち、
セーブデータが消滅する。
-----------------------
と、そう言うゲームなんだけれど、いや、実際セーブデータが消えるのも輪廻をイメージしたガチ仕様なんだけれども、もち、キーワードは「自身の竜への母性」と、「ループ世界の中でいつまでも逃亡し続ける存在」と言う2点。
90年代初期の桜玉吉の筆致で描かれたクールな外見ながら、
異常なまでに熱い女なのが、たまらないのだ。
当時はまだ欝じゃなかった桜玉吉のキャラデザは、商人の両耳に耳かきが刺さっていたり、看護師がスケバン風だったりかなりフザけているし、セリフ回しにもファンタジーらしからぬ面は多い。
しかしそれだけに、「辿ってきた階層は全部消滅した」と知らされた時の異常な虚無感や、主人公たちとアムリタとカオスドラゴンしか存在しないラストの状況設定の鋭さが光っている。
アムリタは、そんな世界を自分ひとりの都合でひたすらに破壊し、破壊し直し、永遠に破壊し続けるキャラなのだ。いや、マジに実質スーファミ史上最強のキャラだと思います。
細かいところだと、白竜・セトがバトル中混乱した時に“はなす”と、
「わたしは あなた だったことが あります」や
「あなたは アムリタ だったことが あります」と言うなど、堂々とネタバレしてるのも、良かったなあ!
PR