Wikipediaに「
老人語」と言う項目があるのだが、読んでみると、どうやら私も老人語の使い手であることに気がついた。
老人後の定義は、「若年者による常用が少なくなり、使用者の中心が高齢者、または高齢者が多用する言葉」のことで、ページ内には「シャッポ」、「コール天」、「襦袢」などさすがにご老人的なものから、合計の意味の「都合」、退職の意思を示す「暇」、「及第点」などまだ今も使われているんじゃないかと言う語句が並んでいる。
とは言え、私の場合老人語とされる「のっぴきならない」やら「どうぞ良しなに」やらを普通に使っているものだから、いや、フツーに使うよねえ、などと主張したところでたぶんWikipedia的フツーの感性とは異なっているのだろう。
老人語の一例。
・デートのことを「逢瀬(おうせ)」と言う。これはアリじゃないか、と言うか、寧ろ「デート」が恥ずかしくねえッスか。「アベック」と同じ匂い。デートそのものの気恥かしさもあるかもしれないが、何だか語感に変なイヤらしさを感じる。それなら、「男女の逢瀬」のほうが良い。
・処女のことを「未通女(おぼこ)」「生娘(きむすめ)」と言う。確かに言わない。言わないが、浸透している語句だとも思う。
「あれ、君……処女なの?」と聞いちゃうのは何かエロっちい。「へえ、生娘かい」と言うほうが粋だ。
・レインコートのことを「雨合羽(あまがっぱ)」と言う。カッパはカッパだろう。日本国民がイメージするカッパと、レインコートって、何か明確な文化的違いがあると思うぞ!
・JRの列車を「汽車(きしゃ)」と言う。これが老人っぽいってのは解る。汽車って、蒸気機関車をイメージするもの。
でも実際は、汽車と言う単語自体に明確な定義は無いらしく、間違った表現ではないらしい。
・ジャケットのことを「ヤッケ」と言う。言わんわ。言わんけれど、ホーマック(北海道を代表するホームセンター)の防寒作業着売り場に「ヤッケコーナー」と書いている限りは、ヤッケは一般語の仲間でもいいと思う。
・女子児童、女子生徒のことを「女学生(じょがくせい)」と言う。え、ろ、老人語ですかこれ!
じょ、女学生ダメですか!?
だって、「女学生」ですよ? 他にどんな言い換えにもならない、なんか、セーラー服の匂いとか、膨らみかけの乳房とか、華奢かと思ったら意外とある肩幅と腰骨幅とか、そう言う、リアルな感触を表す言葉だと思うんだけれど!
・カラーメディアのことを「総天然色(そうてんねんしょく)」と言う。これは既に「死語としての市民権」を得ていると思う。レトロな喫茶店を題材にした新連載、みたいな感じで、映画に使われた古い言葉と言うよりは「古い映画につきものだった要素を示す新しい言葉」のような受け入れられ方をされていると思う。
・キャンセルのことを「反故(ほご)」と言う。これ、普通に言うでしょ。って、普通に言っちゃうくらい、普通に使ってる。
・ボケのことを「耄碌(もうろく)」と言う。「食らえッ、火炎魔法!」
「な、にッ!? ぐわああああッ!」
「……フン、これくらいも避けられんか……」
「くっ……」
「……ボケたな、貴様」
よりは、
「……耄碌したな、貴様」
だと思う。
言い換えができない言葉だと思う。
ただ、ひとつ確かなのは、言い換えできるかできないかで、常用語か老人語かの区別ができるわけではないんだよね。老人語と呼ばれるからにはそれだけの雰囲気を伴っているわけで、つまりそれは言い換えの利かない独特の雰囲気を伴っていることにもなるから。
でも「こっちの言い方のほうがいい感じだよ!」と言うものが、常用され難い老人語であるとカテゴリ分けされるのも、何だか悲しいものだとも思う。
ところで、
↑ コレは老人語じゃなくて、ジョークって言いませんか。
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