自作の音楽を世界中に公開するのは、今や確定申告より簡単なことである。
しかし音楽を学ぶ場は別に増えているわけではなく、現代の作曲っ子は結局のところ「聞いた感じで違和感なければOK」で作曲するほかない。
しかしそれでは幅が広がらない。
継続していれば「感じのいい曲」は作れるが、「考えのある曲」は作れない。
いや、もちろん感じのいい曲が作れればそれで十分なのだが、しかし考えてみると、センスはあるのに知識が伴っていないと言うのは、非常にもったいない。今少し、和音の扱いにこだわりがあればもっと人気を得るだろう作曲っ子さん達は大勢いるはずなのだ。
さて、和音。
鍵盤楽器での話だが、コードネームは覚えておいたほうが良いだろう。
基本のメジャーコードにマイナーコードは当たり前だが、セブンス、メジャーセブンス、サスペンデッドフォースくらいは抑えておくべきだ。
あるコードを弾けばどう言う響きがするのか。それを体で覚えておくと色々と楽ができる。
Maj7は神秘的だなとか、
mMaj7だと非常に怪しいなだとか、
そのうち、
CMaj7(6,9)onFがどう言う響きを持つかも感覚で解るようになる。
コードネームつきのピアノ譜を用意するだけでいい。そして、左手部分を無視して、右手とコードネームだけで演奏すれば、その感覚は鍛えられる。
もしそれができたなら、次は「反行」を意識すればいい。
和声法の用語だが、現代、どうせ和声なんてどうでもいい話だから、参考にするだけでいい。
反行とは、ある2つの声部が互いに反する音高へ進行することを言う。
平たく言えば、「メロディが上がればベースは下がり、メロディが下がればベースは上がる」と言うことだ。
一本のトランペットと、一本のチューバを想像していただきたい。
トランペットが、パァー
パァアアアー↑ と持ち前の輝かしい音色を活かして、上の音へと上がったとする。
この時、ベース担当であるチューバも同様に音を上がっていったとすれば、それは単なるバカの所業になる。
オクターブ上へと飛翔するトランペット。それに対してチューバは……もし、逆に下の音へとシフトしたなら、その方がより全体的な音色に拡がりが出る気がしないだろうか?
具体例:
http://www.e-moe.net/~pripas/box/2end.mp3最初の「♪ソラシド」はトランペットもチューバも上がっている場合。
二回目の「♪ソラシド」はチューバが下がっている場合。
こういう仕組みをちょこっと意識するだけでも、いま作っている曲は少し面白みを増すはずである。
勿論飛翔感を出したい時は全パートで上がることが必要な場合もあるが、そうでなければ、ちょいと参考にしても損はないだろう。
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