夏祭。
14日から16日は北海道神宮祭ということで、神宮境内と、中島公園にて祭が催される。去年などは図書館からの帰りに素通りした
(しかも道に迷って)くらいだが、今年は異性からの誘いもあり、夕方からふらふらと、出店のある通りを、巡って……
中島公園駅から地上に上がってすぐ――
これだぜ。
初詣か!いや、実は初めてだったのです。札幌の祭。
実家のある三笠市や去年行った泊村など、比較的、というか非常に小さな祭は馴染んでいるんだけれど、何本もの通りがあって、何百もの露店がぎっちりひしめきあってと言う祭は、他の地域含めてもかなり久しぶり。
マトモに巡れるか!
などと言いつつ、懐かしのトロピカルジュース、フライドポテトなどを買い、あたりを見回してみれば楽しい祭のムードはそこかしこに溢れているのだ。
警察官がこの看板をわざわざ立てただろうことも、なんだかごみごみとした雰囲気の中では風情があるではないか。
しかし考えてみるともともと祭で小遣いを過剰にばらまいた記憶は無く、どちらかと言うと昔からそこは堅実で、今回だってせいぜいあとは女性にみそおでんを買ってやり(このチョイスがまたわからん)、くじ引き屋ではずれを引いたついでにゴミを入れるのに良さそうな袋をせびり取り、思い出深いスマートボールを1ゲームした程度である。
――いや、これがあった。100円入れて誕生日に合ったおみくじを取る、客の良心に全依存した「神 秘」!
おみくじの内容はこんなものだった。
貴方の性格は熱情を意志的に押しつけて居り温順性である。姑息な欠点もあるが、理性が之を補っているから近代的な円満さだけしか見えない。
近代的な、円満さ?
とは?病気 始の間に用心しなさい。大した事はありません。
旅行 大変良い。伴れがあれば尚可。
金銭 お気の毒ですが出来兼ねるでしょう。
適業 会社員もよろしい。大抵の人はそんなところだと思うぞ!
病気は始めのうちに用心して悪いことはないし、旅行はそりゃおおかた楽しいうえ、確かに連れがいれば楽しいだろうし、金銭ですぐさま幸運を得る人もそういないだろうし、
そして、
なんだよ、会社員もよろしいって!それからまた歩き、舞台は例のスマートボールへ。
懐かしさのあまり1ゲームかまけていたが、今日の連れ添いの言うには、どうも私の後ろで非常に暗い男がいたものらしい。
ずっと、「スマートボールって……人生みたいだな……釘に当たって……転々と落ちるのって……職業を転々としているようだ……そして、最後は……」
あの、たぶん今のあなたではスマートボールじゃなくても何でも人生みたいに例えられちゃうので、まずは、思い出に浸っている後ろで、
……黙ってろ!人生的にはあんまり良くないゲーム結果。
1個なんて釘に引っかかっちゃって、店番のおじさんに「申し訳ない、最後にこのボールが穴に入っている所を見たいのです」(割と原文ママ)と言って入れてもらったものだ。
さて、スマートボールも思い出の祭ガジェットだったが、実は、もう2つ是非体験したい出費があった。お化け屋敷!
地元の祭じゃあ、無かったのよ、お化け屋敷。是非一生のうちに体験しておきたかったのだ。
と言っても店構えといえば、だいたいこんな所だろう。寧ろ、こうじゃないと、いけないのだ。入り口の前でおやじが口上を立てているのだ。「さあさ、祭も最終日だ、お化け屋敷も今日で最後だ、これを逃しちゃ来年までのお別れよ、さて今年の見納めに見てっちゃどうだい――ほお学生の兄ちゃん入るかい、ンッ、この荷物は野球部かい? ビビって悲鳴上げるんじゃないよ」……
金払いは良くない方だけれど、元々祭と言う場には、金を捨てる気持ちがあってナンボと言う想いもある。お化け屋敷は大人600円。×2。1200円。さて、それだけ楽しませてくれるかどうか?
実際のところは、もしや高いコンビニ弁当のほうが充足感を得られるだろう。
しかし、
しかし、日本にいて、夏祭のお化け屋敷も入ったことがないたあ、ちょいと勿体ない。男子のコケンにも関わるじゃねえか。
手首飛んでるよね。
ブッシャー血ィ出てるよね。それにしても口上に混じって、スピーカーからやたらきゃあきゃあと悲鳴が聞こえる。
始めは屋敷内にマイクでも置いてリアルタイムにそのまま流しているのかとも思ったが、いやいや、ひっきりなしに叫びすぎる。そのあたりの、「察しても良いけど、察してつまんねえとかどうこうとかヌかすんじゃねえぞ」と言う暗黙の演出は、嫌いではない。
受付のねえちゃんは、美人じゃないが、妙に愛嬌があって可愛い。
やたらと私物置き過ぎだけれどね。大福とか団子とか、積み重なってる。ますます、その辺「ある程度はいい加減にやるけど、楽しみたいなら、ちょっとあんたの能動的な気配りも頼むわ」という感じがあって、心地良い。
さて肝心要、お化け屋敷の中身は――
文法上は、合っていた。
スケキヨが巫女装束なのは、ちょっと解らなかったけれど。
上から突如降りるビニールテープあり、ばちばちと明滅する灯りあり、「バア」と腕を出すジェイソンあり、くるくる回る血まみれマネキンあり……
狭い敷地をぐるぐる巡らせ、ぎしぎしと心許ない二階建て構造にし、時に暗幕のカーテンをめくると雰囲気変わって赤いライトの灯る部屋と言った具合に、メリハリも取れていた。
が、
ううん。
やっぱり、客の入りが良すぎて、行列で入っていったのが良くないのか。
「ひい、俺こええよ、何で先頭なんだよ、うぎゃあ、てめ、びびら、うぎゃあ」と逐一いい具合に叫ぶ男子高校生と一緒に入場させられたのが悪いのか、「怖さ」自体はいまひとつ増強すべきところがあると感じた。
最後の仕掛けは、あれは、ブラックライト? 照らされた人の歯なり白目なりが淡い緑に光って見える部屋で、つまりは最後は互いの顔を見て驚きなさいというものなので面白いオチではあるのだけれど、どうもやはり、そこにつなぐまでのラストスパートが効いていなくて、なんだか「ほえ?」という感じで終わってしまった。
しかし、これで600円と言われれば、
妥当、だろう。
さあて、続いては見世物小屋である。
お化け屋敷はなんとなく、やはり定番として入るべきだろうと言う感じがあったが、見世物小屋は……ついつい吸い込まれてしまった。やっぱりこう言う、うさんくさいものって、頂いちゃう。
いやあ、入った瞬間、すがすがしい後悔があった。
だって、わけわからねえ、色っぽいのか何なのか解らない派手なワンピース姿の女性たち3人が、バンド演奏に合わせてけばけばしい顔で、「わぁかい娘は、ウッフン!」だもの。
出演は
デリシャスウィートス。いやあ、いいサイトだ。何だよ演奏メンバーの「女横町痺れ腰」って。ハモンドオルガンいいなあッ!
ちなみに上記写真で気づいた方も多いと思うけれど、小雪太夫もいた。
喰ってたねえ。
さて、場所は変わり、ええと……何だっけ?
オートバイ、ワールド、サーカス?
ワールド、オートバイ?
サーカス、ショー?
ごめん、中入ってないから、ちょっと解らない。オートバイのサーカスがあったようなんだけれど、入り口でぶんぶん走らせていたので、満足してしまった。
このおっちゃん、逆走するベルトコンベアに乗っていて、ずっと一定箇所でバイクを走らせている。そして時々……
あ、ワールド、オートバイ、か。
うまいことバイクのバランスが軌道に乗る度に、
腕をお広げ頂いたり。
ええと、何なのか。
とにかくバイクに乗りながら、時々両腕広げたり、あぐらかいたりする人なんだよ。
で、また元の顔に戻るんだ。
楽しいのかどうかは本人に聞いて欲しい。
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