さて、これらの本をどうやって新居に持っていけばいいのだろうか――?
そんな漫画地獄から書き始めた引越し作業だけれど、実は明日で最終局面。というのが、今月1日に本棚以外の大物はあらかた運び込んでいたのだ。
新居は2LDK、50平米。以前よりブログで紹介していた白い部屋で、家賃は駐車場込み4万円。
小坂俊史の漫画『遠野モノがたり』で、主人公が「広さが東京の倍で家賃が東京の半分の準新築アパート。これ以上夢のある話がどこにありましょうか」と転げまわる描写があるが、この部屋は北海道・東北エリアの中でもそう無いお得物件。実際入ってみて、家賃の割にはやっぱり広く、今のところ引っ越してよかったと感じている。
なお、安い分のペナルティは駅までの距離が徒歩15分であることと、風呂場の排水口カバーが無いこと。
全室内のリフォームで60万円かけたのが売りだと聞いたが、なぜそこで力尽きた!? (ちなみに部屋の仕切りがひとつ蛇腹カーテンだったので、それはドアにしてもらえた。余計になぜ排水口カバーがスルーされたのか……)
あ、もうひとつあるな。2階なのに、窓に柵が無い。酔っ払ったら簡単に転がり落ちることができます。
5畳間。こちらはパソコンと本棚を置く予定。
一方、一面収納のため寝室となるだろうこちらの部屋は、いまいち置くものが思いつかない。
このままでは何も無い部屋のままなので、早速荷物を運び入れる。メタルラックに炊事用品を入れただけでも、ずいぶんと生活臭が出てきた。
ちなみに写真の赤いのは、電子レンジ。温めることしかできないやつだが、2年前にリサイクルショップで4980円で買って以来気に入っている。赤いし。
一方パソコン部屋にも荷物を運び入れるが、何せ乗用車一台での運搬作業。その時乗せられたものだけ持ってくるので、何とも中途半端な図に。
このスカスカな感じ、なんだか現代アートのようだ。モノクロームなものばかりだし。扇風機見えてるけど。
その部屋のドアが、例の付け足したドア。白い扉が調達できなかったようで普通の木目調のものなのだが、横に食器棚を置くと色の調和としてはいい感じに。でも何だか、まだまだ物がなさすぎて、こっちも現代アートの構図……と言うより、エドワード・ゴーリーの『ウエスト・ウイング』のような空虚な恐怖感が出てしまっている。
ちなみに棚から覗いている白い物体は、何となく詰め込んでいたコピー用紙がはみ出したもの。
一方寝室に置かれたのは、これまで鍋の収納として台所に置いていた5段ラック。
寝具はまだ現住居に置いておく必要があったので、ぽつんとこれだけが設置され、なんだか、これこそが現代アートという具合になってしまった。その瞬間――
この部屋の役割は、アートになってしまった。
4段シェルフに次々と置かれる、「まだ何だかよくわからないもの」集団。
当ブログで人気を博した、塊魂のフェルトたちも居座っております。
そしてその横に……
たぶんこれが一番、謎めいている物品になるだろう。12年ほど前に姉が読んでいたファッション雑誌の付録ポストカードを、写真立てに入れたものである。
中学生だった当時、実家の6畳間の中でどうにかおしゃれな部屋を形成しようと目論んでいたのだけれど、何せ中学生に「部屋をおしゃれにするための金」など1円ほどもあるわけがなく、それでもくじびきか何かで当たった写真立てに入れるものを探して、それで行き着いたのがコレだったのだ。
ここに行き着くまでの間には、ファミ通から切り取った『トワイライトシンドローム』の広告写真とか入れていたと思う。
その頃から今まで、部屋を移ろい続け飾られている、やや想い出のあるポストカードなのだ。
ただ、すっかり日焼けしていることもあり、初めて見た人のことを考えると何とも怪しいので、これについて聞かれたら、「……死んだ、妹さ」と答えることにしようと思う。余計怪しく。
さあ、こんなアートばかりやっている場合ではない。この部屋に住むためには、衣と食とが必要なのだ。衣は通勤の関係上、まだ運び入れてしまうと都合が悪いので、とりあえず食器は詰め込むことにする。
写真に写っている脚は、この日引越しを手伝ってくれた女性・ナツのもの。以前より自宅にやたら転がり込んでくるので、引越しについても手伝いをお願いしていた。
彼女に頼んだのは運搬している間の、荷物の整頓。さっそく、第2陣を車で運搬して自宅に入ると、食器と、気に入った酒瓶はすっかり綺麗に並べられていた。
でも、特級ウイスキーやワイングラス、アンティークグラスに混じってのハブ源酒は、ちょっと、ジャンルが違いませんか。
その後もう一往復しパソコンデスクも運び入れるが、さて、ふと見るとリビングがやけに寂しい。まだまだ運び入れるもの、あったっけ?
……しかし考えても、あとはピアノと本棚と冷蔵庫と洗濯機。リビングにでん、と置くものも、コート掛けくらいしか思いつかない。
これはワンルームから2LDKへ、という広さの差の問題ではなく、単に私が「リビング家具」を持っていないだけなのだろう。
いまの住居にところ狭しと置かれているのは殆どが楽器であり、漫画であり、そういう――なんだ、「差押処分を食らったら真っ先に持って行かれるもの」であって、生活必需品をそんなに多く持っていないのだった。
そう、これから、何を置くか考えられる余地があるのだ。
だってほら、その楽器だって、いま押入れにディスプレイしちゃってるし。押入れに入れるものすら無ェのかよ私は。
などと家具の配置に想いを巡らせていると、夕焼け時が訪れた。札幌新道では下水道工事がやっていて、窓を開けているとひっきりなしに大きな音が聞こえていたが、風が冷たくなったので閉めた途端、つうんと、静かな空間になってしまった。
結局、ハンパにダンボール箱を開いたくらいで考えは止まってしまった。
88鍵のピアノを運びいれていないので、パソコン部屋もハンパなままだ。
で――
今日である。
フザけてんのか、この散らかり具合。
実際フザけていると思います。キッチンにピアノが立っててたまるか。
ブログ冒頭の写真は、ロフトにある本棚、漫画を全部はしご下に降ろしてきたもの。これだけで、シャツ2枚取り替える労働だったわ。単に雨で窓が開けられないのに洗濯物干してたからだけれども。
ただ、地道にやれば片付くのも確かで。
室内に3つあるクリップ式ライト、片付けできた区画から取り外してとりあえずはしごにまとめておいたところ。まぶしすぎるわ。全員指向違いすぎるわ。船頭多くして船山に登るわ。
まだまだ片付けきれていないけれど、明日どうにか引っ越します。
最後の写真は休憩がてら立ち寄った家具屋さん。正直テレビの配置を迷っていたのだけれど、この構図にちょっとひかれてしまった。
ね。
せっかく大きなテレビ置いているのに、なんか縮こまってません?
何だかイメージとしてテレビって、部屋の顔、どこにいても見られる場所に無きゃいけない気がしていたんだけれども、もしかして、端っこでいいのかも。
どうせ持っているのは19型なのだし、「リビングにテレビがある」ではなく、「リビングの端のほうにテレビゾーンがある」みたいな感じにしようかと思っています。
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