いや、本当に何度読み返しても面白いんですよ。
金魚屋古書店。
「漫画を読むのが好き」って人には、極力読んで欲しい漫画。今月第10集が出るんだけれど、本当に、漫画っていいなあと思える漫画。
もともと作者の芳崎せいむと言う人が優れたヒューマンドラマメーカーではあるんだけれど、上手に「実在する漫画」を人々の物語の中に織りまぜていく。
漫画作品の扱いは物語の展開によって、キャラクターの人生を決定づける起爆剤としても、或いはキャラクターの人生を彩る脇役としても、はたまたキャラクター同士をつなぐ単なるきっかけとしても描かれるが、一貫しているのが「
漫画を読もう」
と言う、ワクワクする
動機そのものが、作品の屋台骨になっていること。
これほど「漫画を愛している漫画」はそうそう無い。
一番好きなのが単行本3集の、楳図かずおマニアの女性に怖がりな遊び人の男性が言った、
「(楳図作品は)登場人物誰もかれもが…みんな一人残らずすさまじく全力投球なんだよな。追うほうも追われるほうも恐怖におびえる弱い奴らもまがまがしい異形の者達も、へび女も、紅グモも『イアラ』に出てくるどの男も女も全員。
誰もがみんな自分の人生を生き抜く事を必死で貫こうとしている。滅びの瞬間さえもいつも前のめりだ」
なるセリフ。
力強いなあ、と思う。
ホント、コレのためにスキャナ買って、1集ごとのお気に入りページをアップしたいくらい、気に入っている漫画です。
ちなみにコレの他にお気に入りの――「とりあえずは人に薦めたい漫画」は、
菫画報/小原愼司無鉄砲だけど可憐な女子高生が、日常の中で突然何の必然性も無くぽっかり口を開いている非日常に溶け込みそうで全く溶け込まない話。
中央モノローグ線/小坂俊史中央線の駅を擬人化し、それぞれの駅周辺に住む女性たちが、淡々と自分の住む街について語る4コマ漫画。シンプルでユニーク。
へうげもの/山田芳裕戦国武将としての才はないが茶人として一大流行を築いた古田織部が、自身が何者なのかを悩み続けながら何者かになる話。絵にクセがあるが、バンドデシネ的だとも思う。
この他にも西原理恵子とか桜玉吉とか諸星大二郎とかあるけれど、いや、本当に、漫画は良いね。
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