先日買った漫画『あやかし古書庫と少女の魅宝』(ドリヤス工場)が面白かった。
あらすじを書くとどうしても誤解されるのが、面白い。
祖父の古書店を譲り受け一人で住んでいる凡庸な男子学生・イクオ。
しかしその店には「世界の王の祭壇(アルター・デス・ヴェルトケーニッヒス)」という魅宝(たから)が眠っており、恐ろしい能力者(カテゴライズド)達が虎視眈々と狙っていたのだ。
そこへふらりと現れたのが女子学生・七星(ななせ)。
彼女は「刀鍛冶(ソードスミス)」という能力を持つ能力者であり、押しかけ女房のように古書店の二階に住まい、バトルあり、イクオとお色気ハプニングありの生活を繰り広げるのであった。
いかにも。
「ラノベ」らしい設定と言える。そのうえハプニングシーンの入り方は唐突だし、能力バトルも展開をうまく運んでいるが平凡な風味がある。ところが――
絵柄が水木しげる風なので、困ったことに面白いのだ。絵柄がパロディだから面白い、というのも気が引ける感想なのだけれども、正直、それだから面白いことになってしまっている。
モブと言ったらこの顔だし、
物語の核を説明するにも何だかのほほんとしているし、
お色気シーンは、構図は実際エロいんだけれども、なにせ、「どきっ」とか「ぎょっ」とか、そんな感じなのだ。
キャラクター設定は実に解りやすい。
能力を用い、形の変化する妖刀を自在に操る少女・ナナセは強引に「あなたを守るためにここに住むわ」とイクオに宣言し、その数ページあとには入浴シーンを披露する。
この絵のままで。実質彼女がヒロインなのだが、そこにオカルトごととイクオに興味のある美人・中神先輩も押しかける。
こちらは攻撃的なナナセに対し、
吸血鬼に襲われイクオに牙を向いたり、
やられ役的な立ち位置でイクオに迫ったりする。
そう、美人なのである。
そんな、いわゆる、「奇妙な共同生活」シチュエーションの中でイクオは見事な鈍感キャラを担っており、そりゃもう、美少女二人に囲まれても色気のいっさいを出さない。主人公としての矜持を守りぬいているのである。
んでもって、何となく色事への抵抗や、嫉妬めいた行動を見せてしまいがちなナナセが可愛かったりするのだが、
この絵柄だから面白くなってるのが、ホント、すごいと思う。一応1巻の終わりではナナセが色男と行動を共にするもどかしいシーンも登場するので、2巻以降、この定番というか王道というか、「いじらしく見せておいてなんとも進展しませんよ」感がどう維持されるのか、
しかもこの絵で、という点が見所なカンジがする。
裏表紙が中神先輩の緊縛シーンというのも、変なズルさがあっていいなあ。
PR