悪かった。いや、この漫画じゃなくて、
俺が。
だいぶ前に2巻まで買って、何かアザトいなあ、不条理ギャグに日常ってつけるセンスも、キャラの方から笑いに行くのも好きじゃねえなあとか、結構不満ぶつけたんだけれど、5巻まで買って読み返した。ごめん、面白かった。
あと、大阪万博の感想で「絵が下手」って言ってごめん。こっちも申し訳ない。この人はうまい。うまい人だ。
コマ割と、絵柄の変化が良い。
可愛い顔で良い場面は萌え系とも言える可愛らしい表情になるし、悲壮な場面はものっそい悲壮な顔になるし、虚ろな気分の場面では線が簡素になってキャラの顔パーツもスカスカになるし、もうそれらは違う作者が描いていてもオカしくないくらい筆致が違っていて、そのギャップが面白い。
意図的にダジャレやコケ芸、コケたついでにロケットのように空を翔ぶなど古いギャグをふんだんに仕込むけれど、その後の処理が今様に、妙にあっさりしている。含み笑い系がスタンダードになっている中、場違いなほどの「今さらな馬鹿笑い」で勢いを付けた瞬間、突然真顔になる。
しかし、じゃあどの場面が印象に残っている? となると、
教室のドアに挟まれた黒板消しトラップをかわすために上の窓を見上げた時の
「ステンドグラスが はめこんであるよーーーい!!!」だったり、
お昼ごはんに米なしで焼き鯖だけ買ってこられた時の「ごはんは?」「………… ? どゆこと?」
「白メシだよ!!!」だったり、
犬に噛まれた時に発する、建物をも突き抜ける
“単なる長音”であったり、
そう言う勢いのあるコマだったりする。
ギャップも面白いが、だからこそ最初の起爆剤がうまく発現していると言う事だ。
実は、かなり器用なギャグ漫画なのではないだろうか。上の3つも全部、ページを開いて突然大ゴマで出てくるシーンだし、ギャグの文法がすげえよく狙われている。
面白い。
面白いよ。
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