『G.O.D~目覚めよと呼ぶ声が聴こえ~』というRPGをご存知だろうか。
スーファミソフトで発売は1996年。その頃にはプレステもある程度普及しており、2年後に一応プレステ移植もされるんだけれど恐らくセールス的にはそんなんでも無かったと思われるゲームである。
私はこれを中学生の頃、木村くんから借りて遊んでいた。
当時まだ誰しもが脳科学に疎く、たとえば「人間の脳は30%しか使われていない」という仮説が、かなりまことしやかに、センセーショナルにテレビなどで持ち上げられていた。
昨今では「“同時に”使われてるのは確かにせいぜいそのくらい」というのが一般的な解釈だが、何せ当時は、「人間には潜在能力がある……」と大体カコつけて取り沙汰されることがあったし、超能力霊能力の口上材料や、SFなどの物語の題材にも使われることがあった。
で、その残りの70%をなんと「世界の七不思議」「パワースポット」と結びつけたのがこの『G.O.D』である。
結構セーブが飛ぶので私は途中で諦めたのだけれど、姉が見事にクリアしておりました。
『メインタイトル』オープニング~タイトルのこの曲が印象的。
主人公は祖母の元へのおつかいを頼まれる途中、恐怖の大王(1999年設定なのよ、この辺も時代)に巻き込まれ、また通り道となる山で不思議な巨石に触れ気を失ってしまう。
『神の石』主人公が目覚めるとそこは10年後!
実は恐怖の大王とはエイリアンの来襲のことであり、主人公は当時の記憶を喪失したままレンジャー部隊に所属していたのだ。
『ダンジョン:リュウキュウ』仲間を集いつつ、エイリアンとの戦いに身を投じる主人公。
名古屋や琉球を越え、舞台は世界各国へと広がっていく。地味に、「地理が鍛えられる」ゲームでもあるのだ。確かマップ完成度の概念があったし。各都市各地域には必ず「まんじゅう」があり、エビフリャまんだのチャンプルまんだのピロシキまんだの、それぞれの名物と絡められており、しかもメニュー画面でコンプリート状況を見られたりする。
このあたりはなかなか手の込んだ、楽しい要素だ。
んで。
さっきから、何で音楽を載せているのかってね。
もともとこの記事を書こうと思ったのが、姉からのメールなのよ。
「G.O.D目覚めよと呼ぶ声が聴こえの、パイプオルガンの曲ってどんなんだっけ」こんなこと聞いてくる人、世界にそう何人といないと思うわけで、とりあえず手書きで譜面を書いたものを写メールで送ったのだが、
『ラ・ムー』これね。シンプルながらひどく重苦しい、とても良いゲームミュージック。
(姉に送ったものは拍子を間違えていました)
そして、大事なことはもうひとつ。
このゲームの音楽監修はデーモン小暮閣下なのよ。閣下、様々いい曲を残してくれました。
ゲーム中の村(札幌がモデル)では雪像の姿で登場し、話しかけるとサウンドテストモード(ジュークボックスモード)になります。
聖飢魔IIの楽曲と比べると勿論毛色もやや違うのだが、
『エイリアンバトル』バトル曲には小気味よい、そしてざわざわさせるコード進行のものもある。
さて、肝心、ゲームとして面白いかとなると、いや、これはなかなか面白いものがある。
ひとつずつダンジョンをクリアするごとに解放される能力、主人公たちが持つ7つのチャクラを好きに育てる育成の自由度。エンカウント低下、または逆の増加などフィールドスキルにも凝った様子があり、バトル経験値での習得はやや作業感の強いものの、バトルする楽しみがある。
隠し要素も多く、先に挙げたコンプリート要素や攻略に関わらないダンジョンの存在が、舞台が世界地図であることもあり、大変探索を面白くしている。
更にはラスボスである「神」を倒した後にも隠しクエストがあり……これはやや野暮ったいメッセージ性も強く面白いものではないけれど、エンディング途中でモブキャラに問われる「神を倒したあなた達は何者なの? 怖い」というセリフから、スタッフロール終了後にぼんやりと表示される「つづけますか?」という選択肢までの流れは、非常にドキッとさせられるものがある。
なので、大作ではあるし、話のネタに、程度のソフトではあるのだけれど、いま全くやるRPGがないだとか、スーファミ時代のRPGに久々に手を付けたいのであれば問題なくオススメできる作品だ。
難点としては……
安易な感動を演出したいがために、巨乳格闘ショートカット娘を強制イベントで惨殺したうえに、代わりに入ってラストまで付き合うメンバーがヨボヨボの修行僧ということくらいである。
……何の得があって?
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